ホタルの幼虫飼育に取り組むには、幼虫に与える一年間の餌(カワニナ)をどう確保するか?・・・でしょう。
特に、孵化直後の小さな幼虫の餌集めが大変です。カワニナを刻んだりつぶしたりして餌として与える方がいるようですが好ましいとは言えません。刻んだり、つぶした餌は幼虫が好んで食べません。・・・食べ残すと水槽内で腐敗する恐れがあり水の汚れの原因になり幼虫の死ぬ原因にもなります。
1)外来種の貝を幼虫の餌にしないようにしましょう。生き残りの貝や卵がゴミと一緒に川へ流れ込み繁殖する恐れがあります。
2)その地域にすんでいるカワニナ(種)を守る為。他の地域のカワニナを持ち込まないようにしましょう。
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カワニナ |
○餌について
幼虫一匹に対して与える餌のカワニナの大きさと数は、あくまで理想の数と思ってください。
下のサイズの餌を確保するのが難しい方は、大きな餌を与えなくてはなりません。幼虫飼育される方の判断で餌を選んでください。
ただし、卵から孵化直後の幼虫の餌は稚貝(1〜3mm)を与えると、その後の成長と生存率に大きく違いが現れます。
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○餌
幼虫1匹に対して与えるカワニナの数(参考までに)
○孵化直後〜8月下旬頃まで |
幼虫1匹に対し1〜3mmのカワニナ1〜5匹 |
○9月初旬〜9月下旬頃まで |
幼虫1匹に対し3〜5mmのカワニナ1〜5匹 |
○10月初旬〜10月下旬頃まで |
幼虫1匹に対し10から15mmのカワニナ1〜5匹 |
○11月初旬〜12月中旬頃まで |
幼虫1匹に対し10〜25mmのカワニナ1〜5匹 |
○その後は、水温が下がり幼虫も餌を食べなくなり(越冬)幼虫1匹に対し10〜25mmのカワニナ1〜2匹にしましょう。 |
○飼育器内に、カワニナの数をどれだけ入れるかは、自らお考え下さい。
(幼虫1匹に対しカワニナの数です)
1対1では、捕らえるのが難しくなります。
1対5では、捕らえるやすくなりますが、水の汚れがひどくなります。
○カワニナも生き物です。当然フンもします。死ぬこともあります。水の汚れで幼虫が死ぬ原因になります。
○飼育される皆さんがどれだけ手をかけることができるか、カワニナをどれだけ入れるか皆さんが判断する必要があります。
○飼育器の掃除は、1週間に2〜3回以上しましょう。(掃除をする回数はカワニナの数で判断しましょう)
○掃除の時、幼虫に食べられ減った数を追加するようにしましょう。(何時までも同じカワニナを入れたままだと弱ったり死んだりします。時々、カワニナを入れかえましょう)
※あくまでも参考の数です。地域、水温、カワニナの種類、サイズ、など考え与えるようにしましょう。 |
○1円硬貨と幼虫の餌
@1円硬貨と稚貝。孵化から1.5ヶ月は約1〜3mmの稚貝を与えましょう。後の成長と生存率に違いがでます。
A1円硬貨と約10mmのカワニナです。10月初旬からは、10mm前後のカワニナを餌として与えると幼虫の成長と生存率に違いがでます。
B1円硬貨とカワニナ約15〜18mmのカワニナです。
C1円硬貨とカワニナ約20〜25mmのカワニナです。
○画像での紹介をしていませんが、25mm以上のカワニナもいます。
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@1円硬貨と稚貝
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A1円硬貨とカワニナ |
B1円硬貨とカワニナ |
C1円硬貨とカワニナ |
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(大きなカワニナ) |
幼虫飼育をするに当たり、餌のカワニナを1年間確保することが、どれだけ大変であるかを、初年度に経験するものです。
卵から孵化した小さな幼虫(稚貝)の餌から始まり、幼虫の成長に合った大きさの餌を与えるのが望しいことは分っていますが、時には、大きなカワニナを餌として与えなくてはならないこともあります。
そんな時のために、私なりに色々試した結果、次のような方法で飼育すると大きなカワニナでもよく食べることが分かりましたので紹介します。
◆孵化直後の小さな幼虫に大きなカワニナを与える場合
カワニナの頭部の殻を10〜15mm壊し幼虫に与えると幼虫が群がって食べます。
※カワニナの殻を全て取り除いて与えてみましたが何度試しても幼虫は余り食べてくれません。
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頭部の殻を割ったカワニナ |
幼虫の習性
川の中にたまっている枯葉をすくい上げて、生物調査をしてみると、その枯葉にカワニナやカワニナを捕食している幼虫を見ることがあります。・・・幼虫は枯葉などにかくれて餌を食べる習性があります。
D水草の上に大きなカワニナをFGのようにたくさん載せましょう。
Eカワニナの上に平らな石のせカワニナが身動き出来ないようにします。石をのせたままの状態で2〜3日置くと大きなカワニナでも捕食できます。
Fは、結果を見るために石を取り除いたものです。一晩石を乗せたまま置くと大きなカワニナを食べているところを見られます。(石はできるだけ動かさないようにしましょう)
Gは、Eの石の下にあった幼虫に捕食された2.8pのカワニナの殻。
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D束ねた水草
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Eカワニナの上石をのせる |
F結果を見る |
G結果を見る |
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※10月初旬以降の餌は、親のカワニナも食べますが、できれば10mm前後のカワニナを与えるのが理想ですが大掛かりなカワニナ養殖設が必要になります。皆さんの判断で可能なサイズのカワニナを餌として与えましょう。 |
○一年遅れの幼虫を利用して上手に餌を与えましょう。
餌のカワニナを豊富に与えても上陸時に10mm前後と、成長できない幼虫がおります。孵化したばかりの幼虫の餌は、稚貝が最も良いのですが、そんなに稚貝がとれるものではありません。飼育器に成長の遅れた1年前の幼虫が、10〜15mmのカワニナを捕らえて食べているところへ、孵化した幼虫と一緒になって食べることもできるのです。
Dは、水草を約10cm間、クルクル巻して水中に沈めています。
E写真は、3月27日写した幼虫です。水草を解いた結果、10mm前後の小さな幼虫を20数匹確認しました。
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Dクルクル巻きにした水草
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E3月27日の幼虫
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